説話文体研究のステップ・ポイント

説話文体は、物語になっていますから、イソップ童話などを読む時のように、多分このようなことを伝えたいのだなということは、朧気ながら分かります。しかし、しっかりしたポイントを念頭において研究すると、おお!と思うような新しい発見をすることが出てくるのです。

ポイント1)著者と最初の読者
誰がどの時代に、誰に向かって書いたのかということを時々確認します。何でこんな記事が収録されているんだろうとか、こんな否定的な話からどんな教訓が得られるんだとうなどと疑問に思う時に、これを再確認すると見えてくる時があります。

ポイント2)背景
物語の中の、時代、場所、環境の設定を確認します。読めばそういう情報が示されている場合もありますし、出ている情報だけでは細かいことが理解できない場合もあります。そういう時に、注解を読めば、背景の説明が出ていることがあります。

ポイント3)強調点
強調点には注意します。聖書では、同じ語の繰り返しや、同じ物語の繰り返しは強調点です。どうして強調しているのかを考えます。また、「見よ!」とか「なんと!」というような言葉は、記者が強調したいポイントです。どうして強調したいのかを考えることが必要です。

ポイント4)キャラクター
物語に出てくる人物の発言や行動から、その人物の性格などを分析します。また、そういう人物を登場させることで、どのような思想や思考を代表せようとしているのかを考えます。登場人物の名前の意味を調べると、象徴的な意味になっていて、性格と合致していたりするときもあります。でも、名前に関しては、深読みしない方がいいでしょう。

ポイント5)まとめ、結論
締め括りの語が、主題を述べている場合があります。それがキリストの言葉だったりすると、更にその度合いが強まる場合があります。それが手掛かりになります。

ポイント6)文脈
前後に配置されている物語や説話のテーマと、どのようなつながりが有るかを考えます。他の説話とテーマが変わらないではないかと思う時などに、このような文脈のつながりを確認すると、その説話がそこに置かれた、その場所ならではの意味が見えてくることがあります。

これらをまとめてよく考え、その物語が持っているメッセージや主題が何かということをゆっくり考えると、単に物語として読む時より、深い内容が見えてくる場合があります。

次回、実例を示してやってみようと思います。

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 聖書・聖句へ
にほんブログ村